空港で足止めされたら…

『 Stranded At An Airport, Tango Meet-up 』


世界に広がるタンゴ愛好家のフェイスブック投稿のページがあるのを聞いたことはありますか?

日本人も勿論名古屋からの参加もある面白いグループページです。

数年前に読んだ一つの投稿を紹介します。


''感謝祭前日の夜、ボストンのローガン空港では、エレフテリオス・ミナスさんがインディアナポリス行きのフライトを待っていた。そこから2つ離れたターミナルでは、麻酔科医のクリスティーナ・チンさんがニューアーク行きの便に乗り継ごうとしていた。


 ミナスさんはその夜、フェイスブックにこう投稿した。「ボストン空港のA4ゲート。9時30分まで。リード(ダンスをリードする人。主に男性)もしくはフォロー(ダンスについていく人。主に女性)」


 チンさんはミナスさんと面識がなかったが、とりあえず返答した。「こちらはC29ゲート。あなたの目印は?」


チンさんはミナスさんのいるゲートへと急いだ。2人はキャリーバッグからダンスシューズを取り出し、ミナスさんはスマートフォンで曲をかける準備をした。初対面の2人は片方ずつイヤホンをして、自分たちだけが聞こえる音楽に合わせて体を動かし始めた。彼らはタンゴを踊ったが、周りの人たちは自分たちのスマホに見入っていて、顔を上げることはほとんどなかった。


 ダンスが終わると2人は別れ、それぞれの目的地に飛んでいった。''


 ロマンチックで旅慣れたタンゴ愛好家の投稿に『粋』を感じる。このグループのメンバーにはダンスシューズをバッグに忍ばせて旅する人も少なくない。少し離れたゲートにダンスのパートナーがいるかもしれないからだ。出会えるホンのちょっとした奇跡も旅の醍醐味の一つだ。


 このフェイスブックのページには、素敵な投稿が多くある。


 ''「リーダーでもフォロワーでも(男性)。イスタンブール・アタチュルク空港。音楽あります。ジンジャーの強い香り」


 「マイアミ国際空港のH9ゲート。午後1時まで。音楽も靴もあるけど、女性ダンサーが見つかる気配なし。だから、驚かせて欲しい。青いジャケットとジーンズが目印」



現在進行中の出来事には、多くのメンバーの注目も集まる。イサベラ・ガルシアさんはテキサス州オースティンからペンシルベニア州ステートカレッジに向かう途中で「オヘア空港に午後4時まで足止め。靴はないけど、靴下でフォローできます」と投稿した。


マサチューセッツ州ケープコッド在住の旅行ライター兼小説家で、グループの共同管理者でもあるレイ・バートレットさんは、別の便に乗る直前にこの投稿を見た。「イサベラ、午後2時40分にオヘア空港に着きます。ニューオーリンズ発のユナイテッド航空です。会えますか?」


 すると、メンバーたちはフェイスブック上で2人を応援するコメントを次々に投稿した


 午後4時11分、二人が踊っている写真が投稿された。そこには「成功!」と書かれていた。''


もしかしたら、今も世界のどこかの空港で…


                                                    - cherie -



出典:https://newspicks.com/about/